日本語教員は日本で自然に日本語を習得していますが

海外で親しくなった現地の人たちから、突然、日本語教員のアルバイトをしないかなどと、お誘いを受けることがあります。軽い気持ちでアルバイトを引き受けた後で、その大変さに驚かされたことがあります。それにはある理由がありました。すなわち、日本人であれば、日本語を無意識のうちに修得しているということで、いちいち文法のことを考えながら話しをするわけではありません。この無意識に日本語を習得している状態が、現地で、外国人たちに、日本語を外国語として教える場合に障害となります。つまり、日本人の側から見れば、自分が理解できているので、当然相手だって理解してくれていると考える傾向があるからです。現地の外国人たちは、日本人講師が教壇で話している、その内容をつかめていないことが多いです。それで、日本語で日本語の授業をしていると、言いようのない不安に駆られることがあります。

日本語教員は日本語の授業の準備時間が必要です

日本語教員をやっていたころの失敗を振り返ると、どうやらひとつの結論に到達します。東南アジア諸国の日本語学校でアルバイトをしたことがありますが、結構大変です。何が大変かというと、授業の準備に、意外と時間がかかるという事実です。例えば1時間の日本語の授業をするのに、数時間の準備が必要です。授業は始まればすぐに終わりの時間となりますが、準備の時間には、際限がありません。入念な準備を、日本語教員が心がけるほど、授業の準備に時間がかかります。そして、一番それを知っているのが、日本語の授業を受ける学生さんや生徒さんたちです。準備が用意周到でない授業では、学生さんたちのほうでも、授業中にあくびをされたりします。日本語教師の魅力は、自分が用意周到に準備した授業をつつがなく終了させることであるということができます。

日本語教員を引き受けてくれないかと頼まれました

タイですが、日本語教員が不足しているある日本語学校で、臨時の応援を頼まれたことがあります。わたしは大学は出ていますが、日本語を専門に学習したことがないので、丁重にお断りしました。ところが、しばらくして、どうしても引き受けてくださいといわれました。わたしは不安に駆られて、日本語学校を経営しているタイ人の責任者に直接、その理由を聞きました。なんのことはありませんでした。わたしが普段タイで日常的に話しているタイ語が、その責任者の目に留まったということです。是非にといわれて、心を動かされ、ついにはお引き受けすることになりました。土日だけの授業で、わたしが担当するのは、午前か午後の2時間だけでした。わずか2時間、タイ人学生たちに日本語を教えることで、1日1000バーツもの高額給与を得ることができました。当時はタイ人が1日働いて100バーツしか稼げない時代でした。